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     エンゼルクッキー
 難易度:★★☆ 調理時間:80分
(一晩置く時間は含めていません)

 

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今から30年以上前、母上は神戸在住のアメリカ人のご婦人のとこ
ろにお菓子を習いに行っておりました。母上は息子に似て料理には
マメな人だったので(って、息子が似たのか^^;)我が家のおやつの
8割くらいは海の向こうの国の珍しいお菓子だった記憶があります。
どれも美味しかったのですがその中でも際立って記憶に残っている
のがこのクッキーです。構造はさっくり系のクッキー生地の上にマカ
ロンが載っていてその上に刻みココナッツが散らしてあるというもの
で、ココナッツの香ばしさ、メレンゲのカリッとした食感、クッキーの
サクサク感が同時に口の中に広がるというなんとも贅沢なお菓子で
す。少なくとも50年近く生きてきた自分の経歴の中では最上のクッ
キーでこれより美味しいものを食べた記憶がありません。
主催しているレシピ検索サイト『Gの食卓』のレシピの在庫がめでた
く千レシピを迎えるにあたってかなり前から記念レシピはこれにしよ
うかと考えておりました。

ちなみに、お菓子の先生は母上が教わっていた時期から2、3年後
に帰国されました。当時生徒さんが何人いたのか知りませんが30
年経った今でもこのレシピをお持ちの方は少ない気がします。まし
てや今でもこのクッキーが焼ける方は皆無かも。
もしかしたら、今となっては日本でこのお菓子を焼けるのは母上と
自分くらいかもしれません。
そんな曰く付きのちょっと特別なレシピをお楽しみください。
 (25〜30枚分)

[Aパート]
 ・薄力粉
 ・重曹
 ・塩
 ・クレーム・タータ
※クレーム・タータは酒石酸水素
 カリウムのことで大きめの薬局
 でお取り寄せしてもらえます。
[Bパート]
 ・バター
 ・グラニュー糖
 ・水
 ・卵黄
 ・バニラエッセンス
[Cパート]
 ・卵白
 ・粉砂糖
 ・バニラエッセンス
[Dパート]
 ・刻みココナッツ


150g
小匙1/2弱
ひとつまみ
小匙1




113g(1/4ポンド)
30g
15g(大匙1)
1個分
少々

1個分
60g
少々

適宜
1.  [Aパート]を合わせて粉篩で篩っておきます。
2. [Bパート]のバターをクリーム状にホイップしグラニュー糖を加えて混ぜ更に卵黄を加えて混ぜます。これにバニラエッセンスを加えて混ぜます。
3. 2.に[Aパート]を加えて最初は木杓子で混ぜ最後は手で手早く一つにまとめます。
4. [Cパート]の卵白を角が立つまでしっかり泡立て粉砂糖を数回に分けて加えながら更に泡立てます(艶と粘りのあるメレンゲに変身します)。
5. 強力粉(分量外)を打った台の上で麺棒を使って2.を5mm厚の正方形に伸ばします。その上に4.をゴムべらを使って均等に広げます。
6. 5.を包丁で3cm×3cmの正方形に切り、上にたっぷり刻みココナッツを振ります。
7. 6.を包丁で一つずつ掬ってクッキングシートを敷いた天版に並べ、120度に予熱したオーブンで約50分、メレンゲがカリカリになるまでじっくり焼きます。
高くても130度まで。ごく低温で焼くのがポイントです。
8. 焼いたクッキーは重ねずに一枚ずつ広げて冷ましてください。そのまま、一晩置けばできあがり。
  
  • もちろん焼き立てをそのまま食べても良いのですが一晩置くとバターがよく回って段違いに美味しくなります。
  • クレーム・タータ(酒石酸水素カリウム)は水に溶けて弱酸性になりメレンゲの気泡を安定させる働きがあります。シフォンケーキなどにも使われるので持っていて損はない薬品ですが、なければレモン果汁を大匙1加えるという方法もあります(但し、レモン風味のクッキーになっちゃいます)。
  • オーブンによったら低温が170度くらいまでしか設定できないものもあります(実はうちのもそう)。この場合、170度で30分焼いてそのまま取り出さずに庫内が冷め切るまで予熱で水分を飛ばしてください(あとは同じ要領で)。満点とはいきませんが75点くらいの仕上がりにはなります。
  • 母上のお菓子の先生はこうおっしゃったそうです。「このレシピを人に教える時には無料で教えてはいけません。なぜなら、皆さんはお金を払ってこのレシピを教わったのだから」
     なんともアメリカ人らしいシビアな発想ですがもう30年も昔の話ですし、このまま誰の記憶にも残らず消えて行ってしまうのではお菓子が可哀相です。ということで、敢えてネットで公開しちゃいます^^


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