黒豆おこわ 難易度:★★☆ 調理時間:105分 |
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今の自分はかりそめの自分。本当の自分はどこか遠いところにい る──なんて憧憬は誰しも抱いたことがあるのではないでしょう か。それが高じて楽し気に騒いでいるクラスメイト達を冷めた目 で見るようになったら──それはもう立派な中二病です。更に行 動派の人は「自分探しの旅」と称してふらふらっとどこかに旅行 に行ったりもします。身もふたもない言い方をすれば端から自分 はそこにいますからどこに旅行しても見つかりはしないのですけ ども。それでも旅行で得た経験は良き思い出になるでしょう。 誰しも身近なものほどありふれて無価値なものに見えて、手の届 かないところにあるものほど価値ある素晴らしいものに感じてし まう──そんな心理が変身願望の原動力なのかもしれません。 この心理を逆手に取れば容易に不人気なものを一躍大人気にす ることができます。要は不人気な理由が「いつでも手に入るありふ れたもの」ということであれば「今しか手に入らない特別なもの 」にアレンジしてしまえば良いのです。 毎年おせち料理を作る 度に「今年は入れるのを止めようかな」と思いつつやっぱり入れ てしまう品があります。それは── 『黒豆の煮物』 むちゃく ちゃ手間がかかるので(そして大量にできてしまうので)とうの 昔に自作は諦めて出来合いのものを買ってくるのですが、家族に は不人気。1粒、2粒箸でつまんだら「美味しかった。ごちそう さま」と言ったそっけない扱いなのです。ホント、だったら買っ てこなきゃ良いのにね(笑) あまりにも誰も箸を付けないので 業を煮やしてある年、残っていた黒豆を全部生地に混ぜ込んで「 抹茶と黒豆のパウンドケーキ」というのを焼いたら一瞬でなくな った。 「いや、これ君らが見向きもしなかった黒豆やで」と娘 に言ったら「これは今しか食べられへんスイーツやから食べとか な」との返事。 どうやら黒豆は煮豆の一種で年中いつでも食べ られるけど和風スイーツ──ましてやおせち料理をアレンジして 作ったスイーツは1年でも正月にしか食べられへんということら しい。いやそれ理屈が通っているようないないような…… 釈然 としない気分ながら僕はひとつの真理にたどり着きました。 「 これは特別。今を逃したら食べられないと思わせた料理は人気が 爆上がりする」 爾来、毎年正月明けには黒豆をアレンジした正 月ならではの料理が食卓に上るのが我が家の年中行事。正月の 終わりを告げる風物詩となりました。 今年はおこわ。お赤飯ぽい 料理なので果たしてウケるかなと危ぶんでいたのですがどうやら 杞憂だった模様。これもあっという間になくなってしまいました 。気の早い話ですが来年は食パン生地に混ぜ込んで小倉トースト 風にしてみようかなと思っております。 ……、って、やっぱり 黒豆を買うんかい。 | |||||||||||||
(1人分) | |||||||||||||
・おせちで残った黒豆 ・もち米 ・米 ・塩 ・水 |
あるだけ 1/2合(なければ米1/2合) 1/2合 2g(小匙1/3) 炊飯器の目盛りより 少し下目盛の線が水 に浸からない程度 |
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