なじみ豆腐 難易度:★★☆ 調理時間:30分 |
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科学とは因果関係の普遍妥当性を追求する学問である 僕が中 学校で教わった科学の定義です。中学生に教えるには使っている 言葉が難しく当時は理解が追い付いていなかったのですが今で は理解できます。平たく言うとこんな感じ──。 世の中の全ての 事象には原因と結果──すなわち因果関係があります。手から 物を離せば地面に向かって落ちていく。塩を水に入れると溶ける 。水を温めると湯気が出る──それはなぜか? その「なぜ」を 説明するのに「〇〇という原因」があってそれが「△△という結果」 を生むといった具合に《原因』と《結果》というアイテムを使っ て誰も(=普遍)が納得(=妥当)いくように説明しようという のが科学の目的なのです。 で、誰もを納得させる手段として科 学者は数値化することを想いつきました。2人が1個ずつリンゴ を持っていてそれを持ち寄れば2個になる──それは誰に聞いて もそれはそうだろうと言ってくれる真理です。物事の状態を計る 客観的な物差しとして数字は非常に便利なアイテムなのです。 明治32年生まれで平成10年まで生きた香川綾さんという医学 博士がいらっしゃいました。日本の栄養学の祖と言っても良い貢 献をされた方です。「日本人の食事は塩分過多だ。その原因は調 味を目分量でやっていることにある」と提唱した彼女は日本で初 めて料理に科学の物差しを充てた方でもあります。 彼女は私費 で和洋中の著名なコックを家に招き様々な料理を調理してもらい ました。そして調理の前後でどの調味料がどれだけ使われたかを 計測し、その結果をまとめて大半の料理に使われる調味料は5m l、15ml、200mlの倍数になる。故にこの分量の物差し があれば正確に料理を再現することができるという答えを導きだ しました。 これをもとに考案されたのが計量スプーンと計量カ ップです。それが戦後すぐのことでした。けれど、調味料を正確 に計るという文化が一般に浸透するのは昭和40年代のことなの で随分時間はかかりましたね。いちいち計るのがめんどくさいと いうのもあったのでしょうが「目分量で料理ができる」=ベテラ ン、「調味料を正確に計る」=邪道、人間らしい温かみがない( 何?)みたいな変な風潮があったのかもしれないと想像していま す。 とまれ、それまでは母が娘に「ここでこれくらい醤油を入 れて」と実演を交えて一子相伝的に教えていた調理技術は調味料を数値化することで見も知らない赤の他人にも文章にして手渡 すだけで正確に伝えられるようになりました。そうやって記録され たレシピは今にとどまらず百年後でも千年後でもレシピが文献と して残り続ける限りいつでも再現できるのです。つまり料理は数 値化することで普遍妥当性を得たといえます。 江戸時代に作ら れた料理本「豆腐百珍」を紐解きながら調味料の分量が書かれて いることのありがたみを改めて思い知りました。香川先生、あな たの業績はあまりにも偉大です。 | |||||||||||||
(1人分) | |||||||||||||
・木綿豆腐 [調味料パート] ・酒 ・白味噌 [薬味パート] ・長ネギ(青い部分) ・青唐辛子なければ柚子胡椒 ・おろし大根 |
半丁(約150g) 50g(1/4カップ) 25g 5cm 少々 7mmの輪切り分 |
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