海幸山幸の塩ひやしうどん 難易度:★★☆ 調理時間:80分 ([つゆパート]に乾燥野菜を加えて冷蔵庫で戻す時間は含めていません) |
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ダシが利いていない──というのは塩味や酸味が足りなくて味が 薄いという意味ではないということを僕らは経験上知っています 。和食には昆布や鰹節を使ってダシを挽く技法が古くから確立さ れていてそれによってもたらされる旨さは塩辛さ、甘味、酸味と は別物だと理解しているからです。 けど、じゃあ具体的にダシ が利いている/利いていないというのはどういう状態かというこ とを科学的に説明できるようになったのは実は20世紀になって からのことです。20世紀初頭に東大で昆布からグルタミン酸と いう「旨味成分」が発見されて、実は昆布や鰹節を煮てダシを利 かせるというのはそれらが持つ旨味成分を水に抽出する作業だ ということが解明されました。 ただこの説はヨーロッパの学会で は懐疑的で料理を「旨い」と感じるのは塩気や酸味が良い感じの バランスを取っている状態を指しているだけじゃないの? とい う意見が強かったみたい。 それは日本人の方が鋭い味覚を持っ ていたとかそういう話ではなく水の違いによるものだったみたい です。日本の水は軟水で旨味成分の抽出に適しているのに対し てヨーロッパの水は硬水でダシを挽きにくい。結果、和食のような 旨味成分を抽出する技法が生まれなかったという歴史によるとこ ろが大きかったようです。 じゃあ、洋食にはダシの文化がない のかというとそんなことはなくて食材自体から旨味成分をもらっ て味を強化する技法が発達しています。たとえば肉料理では肉 自体が旨味をたっぷり含んでいるので肉汁を使ってグレイビーソ ースを作るなんて技法が編み出されました。つまり水自体がダシ を挽くのに向かないので料理に旨味を含んだソースをかけるとい う発想に至ったわけです。 あるいはトマトのように酸味の強い食 材を合わせて旨味を補強するという技法も生まれました。後付け ですけど、実はトマトには旨味成分のひとつグルタミン酸がたっ ぷり含まれていることが今ではわかっています。経験から「トマ トを一緒に煮こむと旨い」ということを知っていて無意識のうち にグルタミン酸を料理に加えていたというわけです。 更にトマ トに限りませんが多くの野菜や茸は干して乾物にすると旨味成分 の量が爆上がりします。これも最初は食材の長期保存を目的とし て乾物を作っていたら「なんかこっちの方が美味しい」という経 験が先にあって成分を分析してみると旨味成分が増えていること がわかったという流れだったようです。自分が持つ経験に対して 「なぜ」という疑問を持ち、その原因を追究していくというのは なんとも科学っぽいですね。 過日、「今日のランチはひやしう どんが食べたいな」と思って朝から昆布出汁を挽いておりました (冷蔵庫で冷やすヒマがいるので朝イチでかかったのです)。け ど、なんだか興が乗ってしまって「これに乾燥した野菜のダシを 加えたらもっと美味しくなるのでは」なんて思ってしまったので す。ということで低温のオーブンで即席のドライ野菜を作りまし てこんな一杯に仕立ててみました。なんかちょっと贅沢な気分♪ | |||||||||||||
(1人分) | |||||||||||||
・うどん ・乾燥わかめ ・ありあわせの野菜、茸類 ・(お好みで)天かす ・生姜 [つゆパート] ・昆布出汁 ・塩 ・干し貝柱スープの素 ・レモン果汁 ・タイム |
1玉(または1束) ひとつまみ 今回はミニトマト、しし とう、ひらたけ 適宜 スライス1枚 250ml(250ml) 1g(小匙1/6) 3g 5g(小匙1) 少々 |
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