焼き鳥(ねぎま塩だれ) 難易度:★★☆ 調理時間:42分 |
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実家の近所に焼鳥屋があります。そこにあることは僕が小学生の 頃から知っていたのですがさすがに小学生が入って良い店ではな いとわかるくらいの分別はあったので前を素通りするだけ。けれ どなんだか気になるお店でした。 大学の卒業と同時に実家に戻 りましてご近所を探訪したら──件の焼鳥屋は今でも営業中でし た。もはや酒が飲めない小学生でもなし。何のためらいもなしに その店の暖簾をくぐるまでそう時間はかかりませんでした。 席 はカウンターのみ。7、8人も入ればいっぱいになりそうなこじ んまりとしたお店。フレンドリーな小母さんに「いらっしゃい」 と迎えられてスツールに腰かけた時はまさか……まさかそれから 十年近く週に2度も3度もそのスツールに座ることになるとは思 ってもみませんでした。 つまり僕は店の居心地の良さに魅了さ れてすっかり常連になっちゃったんですね。結婚して他所に引っ 越していくまでせっせと通い詰めたのでした。 どの料理も美味 しかったけれどなんと言っても店のウリは鶏のもも肉を1枚まる っと焼いたタレ焼き。僕は未だにあれより旨いタレを食べたこと はありません。なんでも創業以来一度も作り直しておらず毎晩火 を通しては調味料を追い足しているだけだとか。そこに鶏肉をど っぷり突っ込んでから焼くのですがこの時タレも鶏肉の旨味をも らっているらしい。僕が小学生だった頃もその日常は繰り返され ていて僕が初めてそのタレ焼きを口にしたのはその十数年後─ ─こんなの旨いに決まってますやん。タレは焼鳥屋の顔であると 僕はその店で知りました。僕の実家は神戸なので阪神大震災は まともに喰らった口なのですが震災後、初めて店に顔を出して口 をついた言葉は 「タレは無事だった?」 でした。をいをい薄情す ぎるだろw>自分 爾来僕はどこの焼鳥屋に行ってもタレ焼きを 頼むのを躊躇するようになりました。どうしてもあの店のタレ焼 きと比べちゃうんですよね。だから「タレと塩どっちにします? 」って訊かれるとつい「塩」と答えちゃう。もっと果敢にチャレ ンジしても良いのにと自分で自分を鼓舞したりするのですが日和 っちゃうあたり小心者ですね。 ましてや家で焼き鳥を作るとき にタレ焼きに挑戦するなどもってのほか。あの二十年以上年季を 積んだタレを超えることができるはずもなしと作る前から考えち ゃいます。けどよくよく考えてみたら塩焼きだってたぶん奥行き はうんと深いと思うのです。タレに比べたら簡単だろなんて舐め た口をきくのは浅瀬でちゃっぷちゃっぷ水遊びをしていた子供が 「海で泳いできた」と自慢するに等しい。 過日、鶏のもも肉の 手持ちがあったので今夜は焼鳥が食べたいなと思い立ちました。 味は塩一択。けどちょっとは真面目に料理と向き合っても良いの じゃなかろうかと思いましてこんな風に仕立ててみました。 | |||||||||||||
(3串分) | |||||||||||||
・鶏もも肉 ・白ネギ(白いところ) [タレパート] ・酒 ・味醂 ・蕎麦の返しまたは麺つゆ ・塩 ・ごま油 ・マヨネーズ |
120g 12cm 15g(大匙1) 9g(大匙1/2) 5g(小匙1) 2g(小匙1/3) 4g(小匙1) 3g(小匙1/2) |
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